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    高熱隧道〜よく完工したな

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      昭和11年着工し、昭和15年完工。黒部川上流の黒部第3水力発電所建設に伴う、トンネル開通工事を描いた半分フィクション、半分ノンフィクションな小説。摂氏160度を超える高熱岩盤を切り開いた男たちの物語。

      とにかく、すさまじい工事現場だ。日中戦争中、国民が国家のために我慢を強いられていた時代とはいえ、日本で行われた工事なのが信じられない。

      まず、黒部川上流へ工事機材の運搬作業。悪路からの転落で18名死亡。早くも工事に不穏な空気。そして、トンネル内の温度上昇による発破ダイナマイトの暴発。冬になれば雪崩が宿舎を吹き飛ばす。その他、気が狂ってしまう者など、工事が進むにつれて増え続ける犠牲者は300人超。

      こんな工事が中断されず、完工したことに驚き、あきれる。国家も建設会社も作業員もまともじゃない。

      こうした多くの死体を踏み越えて、工事を進めようとするパワーの象徴が工事現場責任者の根津。トンネルを掘ることに狂気ともいえる執念を燃やし、こう語る。

      「おれたちは葬儀屋みてえなもんだ。仏が出たからといって一々泣いていたら仕事にはならねえんだ。トンネル屋はトンネルをうまく掘ることさえ考えていりゃいいんだ。」

      「このことだけはおぼえておけ。仏が出ても、その遺族たちのことは決して考えるな。それだけでも気分は軽くなるんだ。」

      根津は作者の作り出した人間だけど、実際にそのような強固な意志が工事を支配していたんだろう。それは根津の部下、藤平にも大きな影響を与え、第2の根津になろうとする決意を与える。

      こうやって、全体主義の空気って作られるんでしょうか。

      この小説で描かれた工事はプロジェクトXで有名になった黒部ダム工事とは異なる。いくら難工事を完成させたところで、300人の犠牲を伴ってるんじゃ、テレビ放送できないよな。トンネルは開通したが、熱い空気は漂ったまま。達成感や高揚感を感じる結末ではなかった。

      モノづくりには完成の喜びもあれば、完成の苦さを味わうこともある。この工事は間違いなく後者だ。

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