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    • 2015.10.09 Friday
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    獄中記

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      評価:
      佐藤 優
      岩波書店
      ---
      (2006-12-06)

      代議士鈴木宗男の収賄事件への関与容疑で、2002年5月14日に逮捕され、東京拘置所に勾留された著者は、勾留から7日目にようやく筆記具を手に入れ、以後512日間の交流を記録し続ける。食事や新聞の感想という「日記」もあれば、弁護団への報告、支援してくれる友人や後輩へのメッセージもある。それら文章の中で一貫しているのは、「罪を憎んで人を憎まず」ということ。

      自分は国家公務員として忠実であり、全く悪くない。それを証明することもできる。しかし、勾留されてしまった。

      そんな理不尽を著者は恨むことはない。個人にとって理不尽なことでも、国家にとって利益があるのなら、その利益が優先される。それが法治国家に住む国民の宿命と著者は達観している。著者が熱心な神学研究者であり、有能な国家官僚であるから、そんな冷静な気持ちを持てるのだろう。その結果、本書は国家憎し、検察憎しといった感情に支配されない、客観的な事件簿になっている。

      そして、獄中生活を十分にエンジョイ。読書や語学勉強、自身の思考をまとめることに励み、3度の飯にツッコミ。あげくに、勉強が片付かないので、獄中からは出たくないと言う始末。

      こんな人を収監してしまったのは国家の痛恨のミスだ。

      探検家、36歳の憂鬱

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        評価:
        角幡 唯介
        文藝春秋
        ¥ 1,350
        (2012-07)

        探検家という職業について。三浦雄一郎や野口健などテレビで登場する大御所カリスマを除くと、ほとんどの探検家は人知れずに冒険を計画し、実行する。その冒険が成功しても盛大な祝福が待っているわけではない。コドクでオタクで自己満足な職業だ。そんなことに命かけることに軽蔑する人もいるだろう。

        さらに探検家が厄介な職業なのは、目標を達しても、次なる目標を考えてしまうことらしい。しかも前よりも過酷で危険な目標を。それは目標ではなく、ノルマに追いかけられているようだ。

        探検家兼ノンフィクションライターの著者はそんな探検家の業に縛られ、憂鬱を感じる1人。しかも、ライターである業にも縛られ、冒険に読者を喜ばせるサプライズを無意識に求めてしまう。探検途中、安全か無謀かを選択する場合、あえて無謀な選択をして、そこから脱出したことよりもライターとしてのネタが増えたことに満足する。

        こうしたジレンマを感じつつも、コンパしたい、モテたい、結婚したい、という36歳男性の願望を隠すことなく軽妙なエッセイにしてしまうのが、著者の持ち味。ちなみに著者はすでに結婚し、子供もいる。最近のエッセイネタは冒険に出かけることを妻にどうやって説得するか、ということに移っている。

        ビスマルク  ドイツ帝国を築いた政治外交術

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          オットー・フォン・ビスマルク。鉄(兵器)と血(兵士)こそが国力であるという有名な演説で鉄血宰相と呼ばれ、ヒトラーの前の時代のドイツを代表する政治家だ。強面なヒゲの風貌に加えて、皇帝とケンカして政治家を引退するエピソードもあり、傲慢な独裁者というイメージだが、通して見ると彼の人生の歩みは堅実だ。

          田舎の地主からスタートし、プロイセン国の代議士、外交官を経て、首相に。皇帝ヴィルヘルム1世に忠誠を尽くしながら、周辺の小国を率いて、ドイツ連邦を形成。やがてはドイツ帝国へ。

          ヒトラーのようにイケイケドンドンでひたすら領土拡大を目指すのではなく、適切なスピードで自国を発展させるビスマルクのバランス感覚に感心する。隣接する2大強国フランス、オーストラリアとの駆け引きやヴィルヘルム1世との関係は絶妙だ。

          本書で描かれるビスマルクは優れた外交、戦争センスを持ちながら、その能力に溺れずコツコツとドイツの発展に尽くした冷静な政治家。彼が唯一、我を忘れたのが、皇帝ヴィルヘルム2世との対立。その結果、彼は政治家引退。

          オレたちバブル入行組

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            ブームが落ち着いた頃にあえて読む。

            本書、半沢直樹シリーズ第1作目を読んでみて発見したのは、半沢直樹は「倍返し」と言わないこと。自分のスタイルを同期に語るシーンで「十倍返し」とボソッと言ってるけど、「倍返し」とは言ってない。

            読者としては、悪の支店長にズバっと叫ぶ「倍返しだ!」というシーンを期待してたのに。印籠を出さずに事件を解決してしまった水戸黄門を見てしまった寂しさだ。

            それにしても主人公の半沢直樹だ。上司へ反論、恫喝、脅迫、土下座強要。銀行という礼を重んじる組織でやりたい放題。いくら正義の主人公とはいえ、嫌味が出そうなものだが、その前に半沢が痛めつけられているから、その公平感に納得。改めて、池井戸潤のエンターテイメント小説におけるバランス調整の上手さを感じた。

            光る壁画

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              戦後すぐの日本で、世界初の胃カメラを作った医師と技術者たちを描いた半ノンフィクション情熱大陸風小説。当時の技術で人間の胃の中をのぞくには、直線で硬いパイプを患者の口から突っ込んでロウソクの光を照らすという想像しただけで吐き気がしそうなやり方しかなかった。

              そんな検査ができるのは人前で長剣を飲み込む芸人だけだ。一般の人の胃を診察したいと願う医師たちは先端にフィルムカメラを取り付けたやわらかいコードを胃の中へ挿入して撮影することを考える。胃カメラ製作プロジェクトの開始とともに、多くの困難が立ちはだかる。

              喉を通る小さいカメラは?
              胃を膨らませるには?
              カメラの防水は?
              シャッターは?
              フラッシュは?
              ピント合わせは?
              カメラの位置把握は?

              実験のたびにこうした問題が発生しては、その解決に奔走する男たち。時には、家族を犠牲にして、ものづくりへ情熱を傾ける。敗戦国となりモノもプライドも失った日本で、こうした人たちの意地こそが貴重な資源だった。

              原発と権力

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                日本の原発問題を考える前に、原発開発の歴史を見直してみようと手に取ってみた。本書によれば、もともと原発とは国民の総意による必需品ではなく、一部の権力者がカネと権力を手にするための手段だったのだ。

                原子力発電研究の予算が国会で承認されたのは、1954年3月。将来の首相となる中曽根氏を中心とした議員団はアメリカからのバックアップを受け、2億6千万円の予算を得る。その予算案成立の数日後、ビキニ諸島で第5福竜丸が水爆実験で被爆したとのニュース。このニュース後であれば、原子力予算は承認されなかっただろう。あまりに都合のよい偶然だ。

                最初の一歩目から、政治の都合に流された原発は、田中角栄首相の登場でより政治色を強める。田中首相は電源3法を成立させ、原発を立地した自治体には莫大な交付金を支払うこととした。交付金の受取に慣れ、原発による雇用も発生した自治体は、麻薬中毒のように原発を作り続けることを要請。オラガ村の発展を望む住民も「安全」そっちのけで、麻薬に大賛成。

                こうして権力者たちは、原発を造ることで国のカネを引っ張ってくるシステムを創り上げた。さらに原発を日本中に作り終えると、今度は核燃料再処理施設にプルサーマル発電所、高速増殖炉など「原発関連施設」でカネを引っ張りだそうとする。それらに技術的な成功の裏付けはないにもかかわらず。

                しかし、3・11をきっかけに原発は電力も利権も生み出さない不良債権となる。

                なんとも利権まみれの原発史で、読んでいてイヤになる。しかし、使用後の核燃料の処分方法が決まらず「トイレのないマンション」と言われた原発が、なぜ期待を集め、建設され続けた理由がわかった。脱原発派は危険だ、危険だと騒ぐよりもこうした歴史背景をアピールした方がいいんじゃないのか。

                韃靼の馬

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                  評価:
                  辻原 登
                  日本経済新聞出版社
                  ¥ 2,520
                  (2011-07-07)

                  江戸時代、幕府は鎖国政策をとっていたものの、完全に外国への門戸を閉ざしていたわけではなかった。その狭いスキマの1つを管理していたのが対馬藩。朝鮮との貿易を一手に引き受け、その収益こそが唯一ともいえる藩の収入であった。もし、日朝交流が閉ざされてしまえば、対馬藩は存亡の運命をたどることは間違いない。そのため、歴代の対馬藩主は日朝関係を緊張させないことに細心の注意を払い続けた。

                  物語の第一部は、質素倹約を重視する新井白石の治世において、対馬藩の懸命な外交努力と幕府との関係を軸に据えた歴史小説。対馬藩の青年藩士、阿比留克人は日朝間に挟まれながらも生き延びようとするう対馬藩を支える。ところでタイトルの「韃靼の馬」は一向に登場しない。「伝書の鳩」と言っていいくらい、ハトについての記述が印象に残る。それと江戸時代の経済の中心地大阪のにぎわいの描写に力が入っているのは、この小説が日経新聞に連載していたからだろうか。

                  第二部では新井白石の治世から徳川吉宗の時代へ。対馬藩士阿比留克人は暗殺事件に関連したため亡命し、朝鮮人、金次東となる。ホワイトワーク中心だった第一部から一転、韃靼の馬を求める東アジア横断の大冒険が始まる。モンゴル騎馬民族が登場し、隠し砦での活劇もあり。将来の映像化を考慮したのか?

                  ラストで日朝2国間に翻弄された主人公は意外な選択をする。なぜ、彼は一度捨てた故国に尽くしたのだろうか。国際関係とはこうした無欲で、郷愁を持った人によって築かれたのだ。

                  チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷

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                    キリスト教世界での最高位、ローマ法王ともなれば、俗にまみれず慎ましく上品で優雅な生活を送り、当然その子孫たちも影響を受けるようなものだが、その例外的存在がチェーザレ・ボルジアだ。ルネサンス期、彼はローマ法王アレサンドロ6世を父に持ちながら、剣だけを愛し、武力によるイタリア統一を目指した。32歳の短い生涯で彼は常に戦乱に明け暮れ、その行動に聖職者らしさは全くない。父や弟妹、妻とその実家フランス王ルイ12世といった家族を領土拡大のために利用する「モノ」と割り切ってしまう。

                    なぜチェーザレは聖職者の家に生まれながら、武力と策略だけで国を統一しようとしたのか、彼の中で宗教はどのような役割だったのか。そんな誰もが知りたい答えを、筆者は小説内で明らかにしない。チェーザレに思想や感情を一切語らすことなく、淡々と事実を積み重ねる。

                    小説でもなく、歴史書でもない。著者がわからないことは書かず、わかる事実だけを描いた小説。司馬遼太郎が絶句しそうな、作者の想像力を排した歴史小説スタイルを作り上げた著者はその後、「ローマ人の物語」という大作に挑むとういうわけだ。

                    ところで、この小説でチェーザレを客観視するのが、マキアヴェッリ。彼はチェーザレの死後、チェーザレを理想の君主として「君主論」を書き上げる。人間性や感情のない冷酷な人間こそ君主にふさわしいと説くマキャヴェリズムの視点でチェーザレを描くならば、筆者のスタイルがピッタリなのかもしれない。

                    辛坊訓 日々のニュースは教訓の宝庫

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                      大阪を中心に全国に散らばる辛坊治郎ファンに贈る。

                      辛坊治郎といえば、その日本人っぽくないルックスとテレビの討論番組を大阪のボケツッコミ文化で仕切るアナウンサーで、ワタシはナニワの池上彰と勝手に呼んで応援している。この本では、彼が実は局アナだったことやバックパッカー旅が趣味であること、将来長旅に出て隠居生活を送ろうと考えていることなど、意外な発見もあった。

                      そんな自分語りも文中に入れながら、小気味よく日々のニュースを解説する。文章もテレビで見るいつもどおりの辛坊治郎。左か、右か、どちらかに傾いた結論を導きそうで、その直前にうまく茶化して、庶民的なオチでまとめてしまう。本職は司会者だから結論を明示しないが、ニュースをどういうふうに考えるのかという手段は教えてくれる。

                      例えば、TPPについて、彼はこう述べる。

                      「加盟しなかった時に何が起こるのか?」と「加盟したときに何が起こるのか?」それぞれ最悪のことを想定して、どちらが日本にとって「より最悪なのか?」を考えるしかない。

                      また、ギリシャの金融破綻を解説したあとで、

                      「日本政府は破綻しない」と言っている人は、過去に「日本の原発はソ連とは違う」「日本の年金は破綻しない」と言っていた人たちと見事にオーバーラップします。

                      と、ビシっとしめたものの、続けてオチも忘れない。

                      おそらくこれは心理学の研究材料になると思います。

                      こういう、大阪人サービス精神があるから、この人はテレビで多くの我が強い大物芸能人や政治家と渡り合えるんだろう。

                      「大化改新」隠された真相

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                        蘇我馬子は聖徳太子と同一人物であった。

                        そんなマンガが巷で流行っていると聞く。聖徳太子政治から始まり、大化改新、壬申の乱という時代は、男女入り乱れて、皇族をはじめとする個性豊かな人物が登場する割に、史実の解釈が様々であり、想象をふくらませる楽しさがある。だから「聖徳太子=蘇我馬子」ってのも、アリだ。

                        とはいえ、国営放送NHKであれば、そんな都合の良い解釈は許されず、綿密な取材・調査で歴史の真相に迫らねばならぬ。誰もが学校で習う「大化改新」は、ホントはどうだったのか。著者をはじめとするNHKスペシャル取材陣が解明に挑む。

                        一般に知られる大化改新とは、蘇我氏の独裁政治に危機感を抱いた中大兄皇子らが、蘇我入鹿を宮廷内で殺害し、天皇を中心とする中央集権国家を作り上げたことだ。しかし、最近ではこの大化改新について、多くの異論がある。蘇我氏は自らの権力誇示だけを重視していたのか。中大兄皇子は国家のことを憂いて、クーデターを起こしたのか。天皇中心の国家体制は確立されたのか。

                        こうした疑問が生じるのは、大化改新を記した「日本書紀」にトンデモ本の疑いがあるから。後世になって書きなおされた部分、あえて触れていない部分などが多く、どうやら天皇が正義で、蘇我氏が悪ということをことさらに強調しているようなのだ。

                        本書では、日本書紀の矛盾点を暴き、蘇我氏はそんなに悪い奴じゃなかったし、中大兄皇子の行動は意外にジコチューだったし、大化改新はそれほど画期的な出来事ではなかったらしいとの結論が導かれる。

                        今まで学校で習っていた大化改新とは大きく異なる「改心版大化改新」が明らかにされた。とはいえ、本書が決定版ではなく、今後も様々な意見・反論が発表され、終わりなき古代史研究は続く。だからこそ、日本古代史は面白い。


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